二十年目の初恋
ずっと 5

「悠介、あの日同窓会に来てくれてありがとう。もしも悠介が来てくれなかったら私、今ここには居ないんだよね」

「どうしたんだ? 今頃そんなこと言って。でもそれを言うなら俺の方こそありがとう。優華が来てくれたから俺たち会えたんだから」

「私ね。同窓会の通知、実家に来てたから母からの電話で知ったの。たまには気分転換に行ってみたらって母が出席の返事を出しちゃったの。その時はまだ離婚も成立してなくて……。そんな気分じゃなかったから行かないつもりだったの」

「そうだったのか。一週間前に離婚が成立して、それで行ってみようって気になったんだな」

「うん。何かとにかく気分だけでも変えたかったの。その初めの一歩だった気がする。まさか悠介に会えるとは思わなかったけど」

「俺もだよ。同窓会の通知、やっぱり実家に行ってて母さんが出席で出したからって電話くれて。俺、中学の同窓会一度も出てなかったから、どうしようかって思ってたけど行って良かったよ。優華に会えたから。生涯で最高の誕生日になったよ」

「でも、おばさんと家の母に出席って出されたから行くことになったのよね」

「母さん達にハメラレタってことになるのか?」

「そうかも……」

 何だか可笑しくて二人で笑ってしまった。

「来月のお盆休みに会いに行くか? 俺たちの縁結びのおばさん達に」

「うん。そうね。でも今度は泊まっていけって言われるよ」

「それぞれの実家にか?」

「でしょう? 親子水入らずで過ごせって」

「優華と別々でか?」

「そういうことでしょう?」

「じゃあ、行かない」

「どうして? たまにはいいじゃない? 悠介この前実家で、すっかり息子の顔になってたよ」

「そうか?」

「うん。何だか可愛かった」

「だから可愛いって歳じゃないって」

「男の子はいつでも息子の顔に戻れるんだよ。女の子と違って。女の子は男の子より早く大人になってしまうから。それは望まなくても……。仕方ないことなんだろうけど」

「そうだな。男の俺にはきっと分からないことだろうと思うよ。小学校の高学年くらいから中学くらいの女の子は大人に見えたもんな。男はいつまでもバカやって子供なのにな」
< 124 / 147 >

この作品をシェア

pagetop