二十年目の初恋
二人 10
 悠介が、あまりにも真剣な顔をするから、なんだかすごく恥ずかしくて、熱い視線から逃れたくて両腕を悠介の首に巻きつけて抱きついた。

「悠介、大好きだよ。悠介の何もかも全部が好き。ずっと私にそう思わせてね。もう悠介と離れたくないの」

「優華が嫌だって言っても離さないよ。絶対に」

 悠介の手に肩をそっとつかまれて抱きついていた腕が少し離れて、また悠介に見詰められた。

「優華、もう出ないか? 俺、逆上せそうだよ」
 そう言うと、あっという間に抱き上げられた。

「きゃっ!」

 露天風呂の縁に座らされた。正確には露天風呂の縁に座っている悠介の膝の上に……。

「恥ずかしい」

「大丈夫だよ。俺しか見てないから。言っただろ。他の奴には見せないって」

 そのまま悠介に唇を塞がれて、もう私は悠介に抱かれることしか考えられない。

 耳元で悠介が囁く。
「このまま、ここで抱くよ」

「えっ?」

 誰かに見られているかも……。いいえ。見られなくても声が聞こえるかも……。

 でも悠介の囁きに嫌と言えない私がいた。悠介になら何をされても構わない。

 私は悠介と向かい合って激しくキスしながら抱かれていた。声を我慢するのに必死になりながら……。

 心の中も私の体も悠介だけを感じている。

 全てが悠介でアフレテいた。オボレテいた。こんなにも乱されて女なんだと思い知らされた……。

 そして悠介は私の髪を直しながら

「綺麗だよ。優華、素敵だった」

 どこまでも優しく耳元で囁かれて、唇にそっと触れるキスをしてくれた。

 熱ったお互いの体に、お湯を掛け合って甘く溶け合った二人の汗を流して……。

 部屋に戻って悠介に抱きしめられて幸せな気持ちで眠った。


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