二十年目の初恋
二人 11

 朝が来ていた。街に居たら、とても聞けないような鳥の声がする。

 目が覚めると腕の中には優華。よく眠っている。本当に安心して眠っているように見える。

 優華の寝顔が愛おしくて可愛くて、めちゃめちゃキスしたい衝動に駆られた。けど……。きっと起こしてしまうからグッと我慢した。せっかく気持ち良さそうに眠っているのに……。夢を見ているんだろうか? 幸せな夢を……。

 やっぱり来て良かった。優華を連れて来て。離婚の傷も温泉で癒されただろうか? 

 この一年の優華の心の傷は、そんなに簡単に癒されるものでもないだろうけど。

 俺がずっと傍に居て必ず忘れさせるからな。優華の心から記憶から体からも嫌なことは忘れさせてやる。俺以外の男のことなど全て。

 子供の頃からずっと好きだったんだから。幸せで毎日、笑って居られるように俺が優華を変えてみせるから。

 それにしても、こんなに愛しいなんて……。こんなにも優華を愛していたなんて……。もう誰にも渡さない。触らせない。俺だけのものだから。

 抱いても抱いても優華が欲しい。体だけじゃなく心も、生命までも抱きしめたい。俺の全てを懸けて、愛して守って幸せにしたい。

 こんな気持ちは今まで一度も感じたことがない。優華の居ない、これからの人生なんて考えられない。何年何十年経っても変わらない気持ちでいる自信があるよ。

 優華、俺の全て、俺だけの優華……。


 優華が目を覚ました。
「悠介、おはよう。もう起きてたの?」

「あぁ、ずっと優華の寝顔、見てたよ」

「やだ。恥ずかしいでしょ」

「可愛くて可愛過ぎて、今、襲おうと思ってたところ」

「えっ?」

 驚いてる優華に優しくキスして

「優華を起こしそうで、さっきからずっと我慢してたんだから。もう無理。止められないよ。優華……」

 最高のモーニングサービスにしてあげるから……。
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