二十年目の初恋
愛される資格 9
「ねぇ、朝は何時に出ればいいの ?」

「八時二十分くらいに出てるけど」

「私は今までより少し早く出ないとね。八時十分くらいかな」

「車で送ろうか ?」

「でも方向が反対だよ。大丈夫だから」

「そうか。じゃあもう寝ようか。明日からまた仕事だ」

「うん。早く寝ないと起きられないからね」

 ベッドで悠介と向かい合って眠った。悠介の腕は私のウエストを抱えてる。私の手は悠介の肩に。

「もう眠った ?」
 悠介の声。

「まだ起きてるけど」

「眠れないのか ?」

「なんとなく」

「やっぱり明日のことが心配 ?」

「心配じゃないって言ったら嘘になるよね」

「大丈夫だよ。もし首になったらここで主婦してくれればいいし。どこか地方に飛ばされたら辞表を理事長に叩き付けて帰って来い」

「うん。ありがとう悠介」
 肩に置いた手を悠介の首に回して私からキスした。悠介が欲しい……。
「お願い。抱いて」

「えっ ? 優華。そんなセリフ初めて聞いたよ」

「こんなこと言う私は嫌い ?」

「抱いてって言った優華、すごく可愛いよ。食べちゃいたいくらいだ。優華、愛してる」

 悠介からの優しい囁きに激しいキスに私の素肌と悠介の素肌が触れ合って悠介の体温の熱さに溶け合って飲み込まれそうになりながら、腕の中で何度も声をあげた。

 愛することも愛されることも、こんなにも素敵で、悠介の全てが愛しくて、真っ白な世界を何度も漂わされた後、今まで感じたことのない悦びに私は声も出せないでいた……。

「優華、大丈夫か ? 今夜の優華、いつもと違う気がするけど」

「初めての感覚なの。よく分からないの。説明出来ないくらい」

「それは良かったってこと ?」

「うん」
恥ずかしくて顔が上げられない。悠介の胸に顔をうずめたまま。

「さっきの優華、すごく綺麗だった。俺も説明出来ないけど。あんな優華、見たことなかったから。また見たい。見せてくれるか ?」

「そんなこと言われても……」

「困る ?」

 悠介は笑顔で私の顔を覗き込んだ。
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