強引同期が甘く豹変しました


矢沢の家に居候させてもらっているという現状のせいなんだろうか。
だとしたら、田舎から親が来て無事に長野へ帰る日までは、こんな風に思ったことをツッコむことにも多少の遠慮を感じながら過ごさなきゃなんないのかな…。

矢沢に気を使うなんて面倒くさい。
言いたいことをズバズバ言えるのがラクだしいいところだったのに。


「おい」

「へっ?」

「コピー。終わったけど」

「あっ、うん。ごめん」


矢沢の声で、慌ててコピー機から印刷された資料を手に取り、パラパラと中身を確認するとそれをそのまま矢沢に手渡した。

だけどその直後。


「サンキュ」

資料を持つ右手と反対側の左手を軽く挙げた矢沢は、そう言うと何故か私の頭にポンッと触れ、営業部のオフィスへ戻っていった。


私は数秒、固まってしまった。


待って。今の何?
なんで頭を触っていった?

矢沢って、そんなことするやつだった?


っていうか…なんで私、今こんなにもドキドキしてるんだろう。

昨日からずっと、おかしなことの連続だ。


いきなりマフラーを巻いてきたり、サンキュ、なんて言いながら頭に触れてきたり。
そもそも、仮の彼氏やってやる、だなんて。そんなことを言って、居候までさせてくれて。


どうした矢沢?
なんか優しくなってない!?

ただでさえ私の調子は狂ってるのに、矢沢までおかしいと、もっと調子が狂ってしまいそうだ。


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