強引同期が甘く豹変しました


だけど、どうやら小島ちゃんは矢沢の冗談を間に受けてしまったらしい。


「でもー、もし本当にそうだとしたら…矢沢さんファンとしても、素直に応援できちゃいますよね。むしろ羨ましいっていうか」


何が羨ましいんだ。応援できちゃうって何なんだ。


「だってー、付き合いが長い分、お互いのことよくわかってるだろうし…むしろ知ってることの方が多いだろうし。知らないシステム事業部の子とか、例えば新入社員とか?よくわからない女なんかとくっつかれるよりは、だったら永井さんの方がよっぽどいいです」

「や…だからね小島ちゃん、冗談間に受けないで。矢沢も悪ノリし過ぎ」

「別に悪ノリしてるつもりはないけど」

「どこがよ!?」


思いっきりしてるよね!?
めちゃくちゃふざけてるじゃん…。

それを悪ノリと言わず何と言うんだ。


「まぁまぁ、とりあえずメシ食おうぜ」


運ばれてきたばかりの料理に箸を伸ばす矢沢は、けろっとした顔でそう言いながら食事を始める。

…本当、自由なやつ。いや、変なやつだ。


「小島ちゃんも食べな!?私はとりあえずビールのお代わりもらう。すいませーん!」


私はそう言うと、空になったジョッキを掲げ、店員さんに追加のビールを注文をした。

それから2時間くらいは食べたり飲んだりしながら仕事の話をしたり聞いたり。

ほとんど後輩である小島ちゃんの話を聞いてあげることに徹して、私たちはほぼ聞き役に回った。

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