強引同期が甘く豹変しました



それから一時間後。


シャワーを浴びさせてもらった私は急いで用意を済ませ、慌てているフリをしながら紀子の家から「いってきます」と慌ただしく出て行った。


それから行くあてもないまま最寄り駅まで歩いて。行くあてもないまま改札を抜け。行くあてもないまま電車に乗り込んだ。


空いている座席に適当に腰をおろし、腕時計に視線を落とす。


時刻はまだ午前11時を過ぎたばかりだった。

つまりは帰宅予定の夜の9時まで、あと10時間もある。




何して時間つぶすかな…。


「はぁっ…」


電車に揺られながら、小さくため息がこぼれた。

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