強引同期が甘く豹変しました
「……矢沢」
男と女って、本当にいつどうなるかなんてわからない。
ただの同期でも。例えば友達でも。
上司でも、後輩でも。
ほんの少しのきっかけやタイミングで。
惹かれたり、すれ違ったり。
苦しんだり、笑い合ったり。
初めからトントン拍子にうまくいくこともあれば、躓いたり、距離が出来たり、遠回りをして…たどり着くこともある。
私と矢沢は、ずいぶん遠回りをしたのかもしれない。
もしかしたら、森さんのことがなければ。
同期だった彼女が、矢沢のことを好きになってたりしなければ。
私たちはもっと早くに、初めからうまくいってたのかもしれない。
矢沢のことをいいなって思ってた頃があったことは、私だけの秘密だけど。
矢沢も…同じ頃にはそう思ってくれてたみたいだし?
だとしたら、7年前には始まろうと思えば始まっていたのかもしれない。
でも、これで。
私はこれで、良かったと思う。
矢沢と7年、同期として過ごしてきた今がスタートになって、良かったって。
いいところも、変なところも。
ゆっくり時間をかけて、たくさん知ることが出来たから。
一から積み上げていかなくていい。
出来上がった関係を、これからもっと、色濃く変えていく。
終わり良ければ全て良し、なんて楽観的過ぎるのかもしれないけど。
私はこれで、良かったなぁって。
だって今、すっごい幸せだもんって。
目の前にいる矢沢を見ながら、なんか改めて…そう感じたから。