強引同期が甘く豹変しました


「立ってるのもなんだし…ね?」


父と母に座ってもらうよう身振りで伝えながら、私は隣に立つ矢沢のことも腕を掴んで座らせた。


「迷わなかった?」

「ふふっ、少し迷ったけど、ほら。今は便利な時代ね。コレのおかげで助かったわ」


目の前に座った母は、そう言いながらスマートフォンの画面を私たちに見せてくる。

地図アプリか。
確かに、これがあればナビ代わりになるし迷わずに来れる。本当便利な時代になった。


店員さんがテーブルまでオーダーを聞きに来ると、父はホットコーヒーで、母はホットレモンティーを注文。

頼んだものがそれぞれ運ばれてきて、父と母が一息つくようにそれを飲んだことを確認すると、カップが置かれたタイミングで、まずは私から話を切り出そうと思っていた。



「あのっ」


だけど隣の矢沢が、私よりも先に口を開いた。


「僕は、凛子さんとは同じ年に入社をして、出会ってからはこの春で7年になります」


はい、と答えた父と母の声が、同時に重なる。


「その間、僕たちは長い時間、職場の同僚として、良き仲間として、仲良く過ごしていました。でも……僕はずっと、初めて会った頃から凛子さんに惹かれていて。恥ずかしい話ですが、長年ずっと、彼女に片思いしてたんです」


慎重に、丁寧な口調で話す矢沢の言葉に、父と母は時折頷いている。


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