強引同期が甘く豹変しました
シーンとしたリビングを通り過ぎて玄関に向かうと、さっさと靴を履いた。
重くなった4つの紙袋を手に取ると、小さく息をついて家を出た。
律儀に玄関の鍵をかけた私はドアのポストにそれをそっと落とす。
カチャン、という音が小さく響いた。
その瞬間、すべてが本当に終わったんだなって。やけに冷静に、そんなことを思った。
「っていうか…重っ」
紙袋を手に独り言を言いながらエレベーターに乗り込むと、再び一階へと降り立った。
すぐにマンションを出ると、寒そうに肩をすくめた矢沢の姿をすぐに見つけた。
「ごめん!寒かったでしょ…」
いいながら急いで駆け寄ると、矢沢はクスッと笑う。
「何で笑うの」
「や、思ってた以上に早すぎたから」
「えっ?早かった?」
「うん、もっと時間かかると思ってた」
矢沢はそう言うと、持っていた紙袋のうち3つを私の手からサッと奪うように掴んでくれた。
「仕方ねえから持ってやる。あ、1つは持てよ」
「ふふっ、ありがとう」
「じゃ、行くか」
うん、と頷くと、さっき通って来たばかりの道を、二人でまた戻っていく。
ここに来るときまで感じていたさっきまでのドキドキは、不思議ともうおさまっていた。
でも、今はまた、新たに感じた別の感覚があった。
ドキドキとはまた違う、安心に似た感覚。
矢沢がいてくれて良かった、なんて。
冬空の下を歩きながら、私はふと…そんなことを思っていた。