御曹司と愛され蜜月ライフ
「お疲れさま、総務の卯月です。……うん、ちょっと頼み事があって。悪いんだけど谷元、今日13時半からA会議室で予定してる社内ミーティング、15時からに変更できない? うん、そう。場所もCに移動で。オッケー? できるよね? こないだ谷元がやらかした来客のダブルブッキング、誰が対応してやったと思ってんの? ……はい、了解。ありがとう、助かる。それじゃあミーティングは15時からC会議室で、よろしくね」
小声の会話を終えて受話器を置く。それから近衛課長に向き直った。
「お待たせしました。14時からB会議室、お取りできます」
「大丈夫なのか? その、社内ミーティングの方は」
「問題ありません。貸しがある同期に都合つけてもらいました」
素知らぬ顔でさらりと答えれば、課長がくっと笑いをこぼした。
それがあまりにも不意打ちで、意識するより先に心臓がはねる。
近衛課長は受付カウンターに片ひじをつき、さっきよりも顔を近付けて来た。
「ふぅん、なるほど。同期がいたのは意外だった。たしかきみは中途採用じゃ?」
「……私の少し後に、入社した男性社員がいるんです。部署は違いますけど歓迎会を合同でやってもらったりしたので、顔見知りになりました」
答えながら、私はあせっている。ここは会社で、人目もあるのだ。ただでさえ近衛課長は目立つ人だというのに、あまりこう、話しかけられるのは……。
内心動揺して目を泳がせている私に気付いているのかいないのか。相変わらずカウンターに寄りかかるようにしたまま、軽い調子で課長が続けた。
小声の会話を終えて受話器を置く。それから近衛課長に向き直った。
「お待たせしました。14時からB会議室、お取りできます」
「大丈夫なのか? その、社内ミーティングの方は」
「問題ありません。貸しがある同期に都合つけてもらいました」
素知らぬ顔でさらりと答えれば、課長がくっと笑いをこぼした。
それがあまりにも不意打ちで、意識するより先に心臓がはねる。
近衛課長は受付カウンターに片ひじをつき、さっきよりも顔を近付けて来た。
「ふぅん、なるほど。同期がいたのは意外だった。たしかきみは中途採用じゃ?」
「……私の少し後に、入社した男性社員がいるんです。部署は違いますけど歓迎会を合同でやってもらったりしたので、顔見知りになりました」
答えながら、私はあせっている。ここは会社で、人目もあるのだ。ただでさえ近衛課長は目立つ人だというのに、あまりこう、話しかけられるのは……。
内心動揺して目を泳がせている私に気付いているのかいないのか。相変わらずカウンターに寄りかかるようにしたまま、軽い調子で課長が続けた。