バンテスト魔法書の保持者

自分の価値 (リオウside)

リューラを連れて、俺は医務室に向かっていた。


穏やかに腕のなかで眠るリューラは、規則正しい吐息を漏らしている。


だが、あまり顔色は良くない。


身体の中に流れている魔力は、不安定だった。


こんなに早く暴走しかけるとは思わなかった。


リューラの本当の実力は俺よりも遥かに上。


勉学も、戦闘も。


魔力も、リューラの方が格段に上。


だが、リューラはその膨大な魔力の殆どを身体の中に封じてある。

         バンテスト
リューラの中に眠る魔法書と共に。


本気を出したリューラにかなうものなど、この学園にはいないだろう。


実技授業の時も、本気を出していなかった。


まるで遊んでいるようだと思った。


レイカ先生とオーガ先生の実力も、他の人からしてみれば強いのだろう。


だが俺やリューラからしてみれば、どうということはない。


あの人達は光の、表の人間。


俺やリューラと違って、正常な人間だ。


医務室‥‥‥いや、保健室の前に立った。


だが、リューラを抱いているから、扉が叩けない。


おぶった方が良かったか。


だけど、リューラは‥‥‥‥


ガラッ


突然、保健室の扉が開いた。


そして、現れたのは驚いた顔をしているレイトだった。


保健室の中には、入学式で会ったユカナ先輩もいる。


足を怪我したのか、保健医のミミル先生に足をみてもらっていた。


「リオウ?」


「リオウ、君?」


「レイト‥‥‥‥入ってもいいか?」
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