Under the ROSE

別の食事が用意されたが、さすがに何も喉を通らなかった。

リュードによって、2年前からここの警備は完璧だった。

宮への入り口は一箇所のみ。あとはすべて閉じられている。窓だって鉄格子が嵌められている。それが外された形跡はなかった。

出入りするのは全てリュードによって選ばれた者達。

外部からの侵入は困難だ。

だとすると、考えられるのは……妃殿下側への内通者がいるということ。


「一体、誰が……」


カリ、と親指の爪を噛んで、部屋の中を歩き回る。

この宮にいる者全てを疑わなくてはならないのだろうか。だとすると、周りの人間は全て敵ということになり、誰も信用出来なくなる。


「……信用、か」


思わず自嘲する。

誰も信じてなどいないくせに。そのような考えに至る自分が可笑しかった。

これから、人一人の命を奪おうという、この自分が。

同じように命を狙われることに憤りを感じるとは滑稽だ。
< 11 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop