Under the ROSE
そのうちリュードが飛んできたというので、しおらしく床に伏せっておいた。

弱々しく微笑むセリスを力強く抱きしめ、必ず犯人を見つけると約束して忙しく部屋を出て行った。


──もしやあの態度も演技では?


そう思ったが、疑い出したらキリがないのでそこで思考を停止させる。

軽く溜息をついてからベッドを下り、テーブルに飾ってある青い薔薇に手を伸ばした。


「お前たちだけは、私を裏切らない」


その可憐な姿と芳しい香りは、心を癒してくれる。

人のように情念のないそれだけが、今のセリスにとって唯一信用出来るもの……。


両手で包み込むようにそっと持ち上げると、チクリ、と指先に鋭い痛みが走った。

思わず手を離すと、パサリ、パサリと音を立てて赤い絨毯の上に落ち、青い花弁がバラバラに散らばった。

その様子を眺めた後、指先に目をやる。

僅かに血が滲んでいた。


「痛い……」


哀しげに睫毛を伏せると、その指先を口に含んだ。

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