Under the ROSE
その後、セリスの身の回りをする侍女がやってきて、真っ白な薔薇の生けられた花瓶をテーブルに置いた。

「白い薔薇……珍しいですね」

「皇太子様からのお見舞いでございます」

「……殿下から」

金の髪に青い瞳の美しい弟の顔を思い浮かべる。

「宮までお見えになったのですが、リュード様が誰も入れるなと申されるので、お花だけ頂きました」

「そうですか。お礼状を書かねばなりませんね」

玉座を争う相手にもこのような心配りをする優しい弟に、複雑な笑みを浮かべる。


リュードと婚約して、初めて会うことを許された皇太子殿下。

見目麗しく柔らかな物腰で、一見少女かと間違うほどの端正な顔立ちであった。

それも最近は徐々に男性らしさを醸し出してきて、諸外国や貴族たちからは是非我が姫を妃にと熱望されている。

レゼッタ姫との婚約が整った後も、そういった声が止む事はない。

エスタ国との繋がりが欲しいだけではない。

皆、アルフォンスという人に惹かれているのだ。



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