黒い野バラ
うるさいのは好きじゃない。

小さい頃から母親に言われてきた言葉は「静かにしなさい」だった。

再婚した母親は、いつもおじさんに気を遣った。家の空気はぴんぴんしてて、息をすることすら気をつけなきゃいけなかった。

だからなのか、ちょっとでもうるさかったり自分の気に障ることがあったりするとすぐ苛々してしまう。

人と付き合っていくのも苦手で、誰かとしゃべること自体私には難しいことだった。だから私に友達と呼べる人間はいなかった。

小学校でも、中学校でも、高校生になった今でも私は一人だった。

おかげでいじめられたり、泥棒に疑われたりもした。でも私はいつも説明しようとしなかったし、いじめられても平気を装っていた。
今まで見てきた人間は、いつも自分のせいを他人のせいにしようとする、何かあったら真っ先に弱そうな人間を疑う。

それが吐き気がするほど嫌だった。関わりたくないと思った。

だから私はいつも一人だった。
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