溺愛伯爵さまが離してくれません!
もう、無理なのか。彼女に会う事は一生ないのか。
考えたくない最悪の事態が頭の中をぐるぐると駆け巡る。

だが、婦人は話を続けた。

「でも、3日後、また来てくれる?私の知り合いがその日戻ってくるの。その人、船着き場で働いている人だから、もしかしたらその女性の事知っているかもしれないわ。まだ希望を捨てないで?諦めなければあなたの努力は報われるかもしれないから」

「3日後・・・・?」

「ごめんなさい。あなたにはその3日間が苦しいかもしれないけれど、お願い」

安心させるように、婦人は優しい笑みを零した。

その笑みがどんな意味を持つのか、僕は全く分からない。
慰めなのか、それともただの社交辞令なのか。

それに対して僕は軽く頷いただけで、その場を後にした。

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