溺愛伯爵さまが離してくれません!
「・・・ったく、仕方のないお方だわ」

クレアさんは小さくなっていく伯爵さまを見つめながら、そう呟きます。

本当、仕方のないお方。
伯爵さまが、もっとしっかりとして、ちゃんとした方を見つけてくれたのなら。
私は、心の底から貴方の幸せを願う事が出来るのに。

貴方がふらふらとしているから、私の心もいつもふらふらなまま。

「・・・ですので、近々お暇を頂くことになります。よろしくお願いします、クレアさん」

「ええ、わかったわ。・・・後悔のないようにね、リーナ」

クレアさんに軽く一礼をし、食堂へと向かいました。

食事をしている時が、多分一番良いだろう。
お暇を頂くために、伯爵さまにお話ししなければ。

食堂の扉の前で立ち止まり、一呼吸したあと、その扉を開けたのでした。
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