溺愛伯爵さまが離してくれません!
「ただいま、父さん、母さん」

丁度仕事をしている時間という事もあって、店舗へ。
お店には、父と母、そして弟のリュリが働いていました。

「お、おお!お帰り、リーナ!」

「姉ちゃん!おかえり!」

「あらぁ、ずいぶんと早い到着だったのね!大丈夫?疲れてない?」

2年ぶりに見る家族。
父と母は少し老け、弟は前よりもたくましくなって・・・。
久しぶりに会う家族の顔に、ホッとする私でした。

「大丈夫よ。伯爵さまが馬車を出してくれて、それで早く帰って来られたのよ」

「まあ!なんて優しいんでしょうね、伯爵様は!ちゃんとお礼言った?リーナ」

「勿論よ。むしろ申し訳なくて断ったの。でも、乗って行けって押し切られちゃって。・・・あ、私も手伝うわ」

カバンを店の奥に置くと、花出しをしている母を手伝います。

冬が近く、花の種類はそう多いわけではないのですが、それでもお店にある花は沢山あって、これを全て店の前に出すのはとても時間が掛かるのです。

私が伯爵さまに仕えるまで、母と一緒にやっていた仕事。
なんだか懐かしくて、それでいて楽しくて、旅の疲れなど忘れて手伝っていました。

私がお店にいると、店を通り過ぎる人や花を買いに来た人が、私に気付いて声を掛けてくれます。
外見は変われど、中身は全く変わっていなくて。

みんな、あったかくて、優しい。

やっぱりこの町は、わたしにとって一番好きな場所なんだ、と改めて感じるのでした。

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