魔術師の瞳

対色衝突




「遷宮さん、華風さんの対戦相手を勤めてくれないか?」


「はぁ、良いですが…」


あざみは蒼蓮や冬夜には及ばすともかなりの実力者だ。対人試験の相手に抜擢するには少々強すぎる。蒼蓮や冬夜が顔をしかめ止めようとするのを雪の王が遮り


「良いではないか。主よ。我の前で実力を見せよ。」


「雪の王フリールオール、しかし…」


「"しかし"も、"だが"もなしだ。主は我が惚れ込んだ女だ。負けることはなかろう?」


不服そうな顔だが、仕方がない。立ち上がり制服の袖を捲るとグラウンドの中央へと歩く。


「よろしく。」


対峙した華風からの簡素な挨拶に少々意地悪い気持ちになるが、髪を赤い紐で一纏めにし手袋を嵌める。


「よろしくお願いします。」


美しい一礼の後に構え、教師がホイッスルを唇に当てる。


「あざみー!頑張れよー。」


蒼蓮の気の抜けた応援と、冬夜が控えめに腕を振っている。雪の王はあざみに変わってベンチの真ん中にふんぞり返り満面の笑みでこっちを見ている。




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