また会おうね
 
 なにか用? と、口を開くのさえ億劫そうに彼女は言う。

 あたしは無意識に怯んでしまう自分を叱咤して、無理に笑みを浮かべた。



「久しぶりだね」



「……誰、あんたー?」



 本当にあたしを覚えていないらしい声音だった。

 あたしは固まった笑みをぎこちなく保ちながら、それでも引き下がらなかった。



「一年のとき、宮川さんのお別れ会に参加させてもらった井上っていいます。あのとき嬉しかったの。ずっとお礼を言いたかった。……ありがとう」



 あたしが用意していた言葉を告げると、彼女は微かに首を傾げた。

 そして気のない返事が戻ってくる。



< 19 / 50 >

この作品をシェア

pagetop