また会おうね
なにか予感があったわけではない。
静まり返った公園のベンチにある物を見つけたからだ。
薄い墨を掃いたような色に朽ちた木製の屋根の下に、ぽつんと置き去りにされた黒いベビーカー。
心臓が跳ねた。
吸い寄せられるように公園の中へ入る。
柔らかい絨毯のような芝生の上を、あたしは妙な焦りを胸に抱えながら歩いた。
「…………」
ベビーカーの中には誰もいなかった。
あたしは力が抜けたようにベンチに座り込む。
屋根と同じく朽ちて歪んだテーブルの上に、投げ出すように置いたビニール袋から、ころころと爪楊枝ケースが転がり出た。