強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】


「大丈夫ですよ、俺たちはただのSPなんで。他の先生方と同じように、俺たちはいないものとして過ごしてください」


そう悠が言うと、篤志さんはチッと舌打ちをした。

他の先生方って……悠みたいな警視庁のSPが警護するのは、大臣や都知事、国賓といったお偉いさんばかり。

偉い人たちは、SPたちをその空間にいないものとして過ごしているの?


「彼がそう言うなら、その通りにしよう」


篤志さんはそう言い、ぼんやり考え込んでいた私にビールの瓶を差し出す。

私は慌てて置かれていたコップをとり、お酌を受ける。

しまった。これって、私の方が先にやってあげなきゃいけなかったのでは……。


「今日も毒見をするのか」

「いいえ、今日は厨房に別のSPがお邪魔しているので、大丈夫です」


篤志さんの質問に、悠が短く答える。

オロオロしているうちに、料理が運ばれてきた。

細長いお皿の上に、小鉢と小さな卵焼き、焼きアナゴ、お豆……みたいなものが乗っている。料理名はわからないけど、色はとても綺麗。


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