強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
お母さんがしっかりしていて、お父さんなんかいらないという子供だっているだろう。
でもいつか、自分のルーツを知りたくなる日が来るはずだ。
これは、絶対に婚約破棄して、篤志さんにはあの人と子供を幸せにしてもらわなくちゃ。
絶対的な取引材料をつかんだと思った瞬間、篤志さんの吐き捨てるような声がした。
「大丈夫だ。あの女は気づきもしない。なんたって、俺に興味がないんだからな」
それって、私のこと? 興味がないのは確かだけど、『あの女』呼ばわりって。
「どうして……どうして、そんな女と結婚するのよ」
今まで勢いが良かった女の人の声が、急に震える。
うつむいたその人は、泣きそうになっているようにも見えた。
やっぱり、『他の女と結婚するのはかまわない』なんて、ただの強がりだったんだ。
「そんなの、決まっているだろ。彼女の実家とのつながりが欲しいだけだ。彼女自体には何も感じていない」