強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】


「大丈夫か?」


手を差し伸べてくれる新城さんの後ろから、パトカーの赤い光とけたたましいサイレン音が迫ってくる。

きっと、倒れたテロリストたちを回収しにきたんだろう。


「どうしよう……私のせいで……」


新城さんの手を借りる気にもなれず、地面にぺたりと座り込んだまま、悠を乗せた車が行った方向を見ていた。


「私のせいで、悠が警察を辞めさせられちゃったりしたら、どうしよう」


声に出してしまったあとで急に悲しくなって、涙が溢れそうになった。


「大丈夫だ。あんたのせいじゃない」


新城さんが、無理やりに私の腕をつかみ、立たせる。


「何があったのか、ゆっくり聞かせてくれ。この状況を見る限り、大西が一方的に悪かったってことはないだろう。そう俺たちは信じている」


新城さんはそう言い、まだ呆然と立ち尽くしている篤志さんと今カノさんに、軽蔑するような視線を送る。


「先に行け。俺はこのテロリストたちを引き渡したら合流するから」

「ああ、頼んだ」


矢作さんを残し、新城さんは私を支えながら車に案内する。

後部座席に座った途端、体中から力が抜ける。

心のどこかの栓が抜けてしまったようで、ぼたぼたと涙が溢れた。

短い間だったけど、ずっと一緒にいてくれた悠がいない。

たったそれだけで、恐ろしいほどの寒さと孤独を感じた。



< 178 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop