強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「事情聴取中に、篠田さんに聞いたんだ。それには、実はすごい秘密があるんだって」
「えっ、なに?」
安そうに見えるけど、実はすごく高価なものだったとか?
見上げた悠は、ごく真面目な顔で答えた。
「それには、総理の秘密のデータが埋め込まれている」
秘密のデータ? もしかして、国家機密事項とか、汚職の証拠とか?
刑事ドラマのような筋書きを考えてはみるけど、どれもしっくりこない。
父の政治活動に関係する大事なデータがあったとして、なぜそれが母のネックレスに?
「安心して。総理が何か悪いことをやったデータとかじゃないから。でも、とても大事なデータだ」
そういえば、ホテルに篠田さんが来たとき、このネックレスは世間的には価値がないけれど、私にとっては価値がある、というようなことを言っていたような。
「篠田さんの調査では、そのデータをネックレスに埋め込んだ業者から、どこかに秘密が売られたのではないかということらしい」
「えっ」