強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
ということは、総理の秘密のデータがこのネックレスの中に埋め込まれていることを知った何者かが、それを狙って私の前にテロリストとして現れたということ?
「ちょっと待って。急展開すぎない?」
そんな大事なこと、どうして世間話みたいにさらっと言うの。
「それに、ネックレスが敵の目的なんだとしたら、あのメールは何なのよ。政略結婚を阻止しようとするような」
「さあ、そこまではまだ調べがついてないんじゃない?」
そんなあ。重要な事実を知ったのに、事件が解決に向かうどころか、逆に謎が深まっちゃったよ。
父も母も、そんな大事なデータが入っているなら、一言言っておいてくれれば良かったのに。
「じゃあ、これを捨てちゃえば、敵はもう追ってこないよね?」
遠くで身を隠しているとはいえ、敵がもう二度とこないとは限らない。
ネックレスを首から外し、海に投げてやろうとしたけれど、悠に止められた。
「待て待て。敵はネックレスを捨てたかどうかなんてわからないんだから、持ってても一緒だよ」