強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「仮に犯人が、キミを藤沢霧子ちゃんで、あの夜に婚約披露パーティーが行われると知っていたとしても、婚約指輪を目当てに襲う必要があるかな」
「……ないでしょう。あの指輪は内側に名前や日付を彫ってしまっているから、転売したらすぐに足がついてしまう」
自分の意見を言うと、大西さんは指を鳴らす。
「それな。まさにその通り。かといって、素人が爪から宝石だけを外して売るのは難しい」
ふとカバンの中に入っている、重い婚約指輪を思い出す。
大げさな縦爪に大きなダイヤモンドが支えられている、時代を問わずに使えるオーソドックスな指輪だった。
もっと地味で普段から使いやすいものがいいと言ったのに、篤志さんが独断でその指輪に決めてしまった。
さらに、内側にはお互いの名前と『forever』なんて意味の分からない単語を彫ってもらったと自慢していた。
いや、『永遠』って意味くらいは知っているけど、私たちの間の何が永遠なのか、見当もつかない。