強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「お帰りなさい、あなた。お風呂にする? ご飯にする? それとも、ア・タ・シ?」
くねくねと体をよじらせながら高浜さんの方へ近寄る悠の姿に、波のようにすーっと気持ちが引いていく。
小学生のとき、バカばっかりしている男子を見て、こんな気持ちになったっけ……なんか懐かしい。
「じゃあ、お前にしようかな……って、バカ者。警護中にふざけるな」
そう言うと高浜さんは悠にデコピンをお見舞いした。ビシィッ!と、痛そうな音がした。
「うぎゃあ。高浜さんの愛が痛い……」
悠はおでこを押さえてうずくまる。
この人たち、なんで朝から人の家でいちゃいちゃしてるんだろう……。
私は腐女子じゃないけれど、大人な高浜さんとまだ少年、しかも美少年のような悠のやりとりは、いちゃついているようにしか見えなかった。
「あの……」
「ああ、すみません藤沢さん。交代の時間なんです。ほら大西、さっさと支度する!」
高浜さんは悠を立たせ、そのプリッと、それでいてキュッとしているお尻を叩いた。