隣の彼は契約者

03*7



「あの……!」


 気付けば身を乗り出す勢いで声を上げていた。
 大橋さんは当然驚いたように目を見開いたが、私はなんとか口を動かす。


「もう少し、詳しくお話を聞かせてくれませんか?」


 この人と頑張ってみたい。直感的にそう思った。


* * *


 その後、作品の話から契約。様々なことを教えてもらった。

 第一に私の作品はまだ完結していない。
 なので書きながら既にできている部分を一緒に修正。ほとんどは書籍時に大幅改稿するため、完結しても大筋さえ変えなければ細かいところはWEBと異なっても良いとのこと。

 漠然と書いてきた作品なので正直ありがたい。
 当然読者の方には申し訳ないので、なるべく変えないようにしたいが。


「あと、絵師は誰がいいですか?」
「え、選んでいいんですか!?」


 まさかの話に聞き返すと、大橋さんはカバー絵だけを印刷したサンプルを見せてくれた。どれも見たことある美麗絵と名前で、感動からか手が震えてしまう。


「一応ご希望は聞くんですが、あまり大手の方だとスケジュール調整とか、卑しい話……お金がね」
「で、ですよねー」
「でも、ウチ専属の方なら融通効きますよ。赤丸がついてる明星さんとか、みやびさんとか……あ! ちょっと席を外しますね!」


 慌てた様子で立ち上がった大橋さんが気になりつつ、一枚一枚見ていく。



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