短編集「堅苦しく、融通が利かない」
店員「ご注文、もう一度だけいいですか」

斎藤「最後ですよ。これミスらはったら、店にクレームの電話入れますからね」

店員「!??…それだけは、ご勘弁下さい。おでぇかん様」

斎藤「いや、おでぇかん様じゃないですよ」

店員「クレーム…クレーム…クレームはヤバいぞ…」

斎藤「…ん、ちょっと大丈夫なんですか?…様子が変だぞ」

店員「次、わたしがクレーム受けた日にゃあ、わたしは…、生きていけないかもしれない…」

斎藤「ちょっとあの、大丈夫なんですか?」

店員「こうなりゃ最後の手段だ…」

斎藤「ん、何ですか」

店員「お客様…」

斎藤「はい?」

店員「お願いがございます…」

斎藤「なに」

店員「次のご注文のご確認、かっく実にさせて頂くためにですね…」

斎藤「はい」

店員「お客様ご自身で、紙に書いて頂きたいのですが、大変お手をわずらわせて、恐縮だとは大変存じますが…」

斎藤「相当動揺してますね…書くの」

店員「はい。ご注文のご確認を、かっく実にさせて頂くためにですね…」

斎藤「分かりましたよ」

店員「!!!大変恐縮にござりまする。いい人だ~。あなた、お地蔵様の生まれ変わりなんじゃないんですか」

斎藤「嬉しくないですよ」

店員「それでは、ここに紙とペンがございます。お願いできますか…」

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