I love youを日本語に
「え…もしかしてここって…」
「ユウがずっと行きたい、って言ってたところでしょ?」
ナオくんは少し得意げに笑う。
電車に乗ること1時間半。
隣の県にある日本で1番大きな水族館の看板が今、目の前にある。
「言ってくれればよかったのに…」
「ユウを驚かせたくて。」
小さいころに両親とトシの家族と1度だけ来たことがあって。
あまりよく覚えてないけど、でもすごく楽しかったって記憶だけがあって。
また行きたいんだっていつもナオくんに話してた。
「行こう、ユウ」
ナオくんからチケットをもらって、ゲートをくぐろうと歩き出そうとする。
「あ、危ない」
繋いだ手を少し引っ張られる。
そうすると、目の前を小さな男の子と女の子が手を繋いで走って通り過ぎていく。
もしかしたら、前に来た時
わたしとトシもあんなふうにはしゃいでいたのかもしれない。
そう思うとなんだか胸の奥が温かくなって。
自然と顔がほころぶ。
「ユウ?」
「ううん、行こう」
ナオくんと手を繋ぎ直して、水族館のゲートをくぐった。