I love youを日本語に





「久しぶり、ユウ」



「みーほー!

会いたかったっ!

めちゃくちゃ会いたかったよーっ!!」


大学に入って初めての前期テストを無事に乗り切って迎えた週末。

美帆が初めてこっちに遊びに来てくれた。


「でも急だったね。

どうしたの?」


美帆はなぜか曖昧に笑うだけ。


美帆から遊びに行きたい、と連絡があったのは3日前のことだった。

別に予定があったわけじゃないし、

何より美帆と会えるのが嬉しくてわたしはOKの返事をした。



「とりあえず、あたし行きたいお店あるんだけど」


「どこー?」


美帆のスマホの画面に表示されているのはオシャレなカフェのホームページ。


「うちの大学の近くだね。

でも美帆、こんなオシャレなところに興味あったの?」


「ユウ、相変わらず失礼ね。

せっかく都会に来たんだもん、田舎にはないようなところに行きたいじゃん。」


美帆に軽く睨まれる。

ああ、この感じ懐かしい。


たった3か月前まではこんなこと当たり前で、

睨まれているというのについ嬉しくてニヤけてしまう。


「ほんと、何も変わってないね。

そんなアホ面して都会歩いてると思うとゾッとするわ。」


「アホ面なんて!」


「してる。今、思いっきり。」


カシャッと音がして、スマホの画面を見せつけられる。


「…以後、気を付けます。」


そこにはアホ面をしたわたしがいた。


「ほら、行くよ。

どっち?」


こっち、と力なく地下鉄の改札を指さして、美帆と目的のお店へ向かった。






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