I love youを日本語に
「なんだかちょっと見ない間にチャラついちゃってー」
「え、俺チャラいかなー?」
ははっと笑いながら美帆と会話しているのはトシだ。
「美帆、わたし帰る。」
回れ右をして1歩踏み出したところで腕をぐいっと引っ張られる。
「なんで」
「なんでも」
美帆が真っ直ぐにわたしを見ている。
ああ、怒ってる。
「ユウ」
声を小さくして、わたしとの距離を縮める。
「いつまで逃げ続けるの?
逃げたらトシくんへの気持ちを忘れられるの?」
「忘れられる、かもしれないじゃん」
「無理。そんなことはできない。
だってそれで忘れられてたら、もうとっくの昔に好きじゃなくなってるはずじゃない。」
何も言い返せない。
美帆の言う通りだ。
今逃げてトシへの好きという感情がなくなるのなら、
この2年半ですでになくなっているはずなわけで。
でも、今もその気持ちがあり続ける、ということは逃げたってなんの意味もないのだ。
「ユウ。
頑張ろう。
少しずつでいいから幼なじみに戻ればいいんだよ。」
美帆はそう言って優しく笑った。