I love youを日本語に
「…なに」
「なに、って質問の答えは?
なんでノーリアクションで牛丼食べ続けるの?」
トシははあ、とわざとらしく大きなため息をつく。
「ユウさ、なんでそんなにあかりのこと気にしてんの?」
「別に気にしてなんか…」
「気にしてるだろ。
あかりあかり、って何かある度にあかりの名前出すだろ。」
トシの言う通りだ。
気にしてないわけがない。
あかりちゃんはわたしのライバル…いや、ライバルなんかじゃないか。
向こうはトシの彼女なんだから、ライバルなんて表現はおこがましい。
わたしはただただあかりちゃんがうらやましいのだ。
トシに愛される資格を持っているあかりちゃんがうらやましくて、
そして…疎ましい。
何も言い返せないわたしは俯いて黙り込んだ。
「ま、別にいいんだけど。」
ああ、もう、これだからイヤだ。
トシは分かってる。
わたしの心が折れたことを。
だからそうやって本当はどうでもいい、なんて思ってないくせにどうでもいい、と言ってわたしを責めるのをやめるんだ。
そんな優しさ、見せつけないでほしい。
「あかりに今のこの状況のことを言わないのは、」
お互いに黙ったまま牛丼を食べ進め、
先に食べ終わったトシが口を開いた。
「心配、させたくないから。」
「心配?」
「そう。
なんかあかりもユウのこと気にしてるっぽいし、
たぶんこのこと言ったら不安な顔すると思う。
でも無理して、何も言ってこない。
本当はイヤなくせに。」
胸が苦しくなった。
トシはちゃんとわかっているのだ。
あかりちゃん、という自分の彼女のことを、ちゃんと理解している。
そのことがなぜか、わたしを苦しくさせる。
「ユウはただの幼なじみなのにな。」
その一言によって、
胸の苦しさが一層増した。