I love youを日本語に





その日の授業後。



蝉がうるさく鳴いていた。

照りつく太陽の日差しが肌に突き刺さる。

汗でTシャツがくっついて気持ち悪い。




「じゃあ今からレギュラー発表するぞ」


監督のその一言で選手たちの表情が引き締まる。


わたしたちマネージャーはそれを少し遠くから見つめていた。



「1番 ショート 牧野」


「はい!」


いつも通りの名前が呼ばれていく。



「7番 キャッチャー・・・」


思わず、直斗先輩の顔を見てしまう。

高校に入って何度先輩の落ち込む顔を見たのだろう。


わたしが高校に入学してからレギュラー発表で呼ばれるキャッチャーの名前はいつだって直斗先輩ではなかった。

中学では不動の4番キャッチャーだった先輩が、

高校に入ると控え捕手で。


わたしはそれがショックでならなかった。



「7番 キャッチャー 安藤」


え?


え?


今、なんとおっしゃいました?

監督?



「…はい!」


その声を聞いて幻聴ではなかったんだと安心した。


直斗先輩、レギュラー入りできたんだ…!!






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