きみが望めば
17.王子の隣と、消えたラファ
あたしはラファの消えた外を見つめていた。


「、、気分は?少し落ち着いた?」
そばにはアル王子がいる。

あんなに居る場所が遠いと寂しさを感じていたはずなのに、今はアル王子よりも、消えてしまったラファのことが気になりすぎて。。


「夜風に当たりすぎるのは身体によくない。」
「でもあたし、」
王子のしぐさひとつで、窓は閉じられ、分厚いカーテンが下ろされた。
「あちらで何か暖かい飲み物でも持たせよう。」
優しく、けれども否を言わせない力であたしは王子に連れて行かれる。そばにはあの初老の執事さんもいた。
「どうぞ、奥のお席へ。」


他の人たちが数歩退いてこちらを見ている。
止んでいたワルツが再び流れ始める。

アル王子が笑顔を見せ、パーティが続けられる。

あたしは遠くに見ていたあの席まであっという間に連れて行かれた。
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