きみが望めば
22.逃げる
「ほんとにすごいね、ラファ!空まで飛べちゃうなんて!」
莉乃が瞳をキラキラさせて見つめてくる。
「俺の力じゃない、莉乃が俺のことを願ってくれていたから飛べたんだ。このマントで。」
ラファは抱いていた莉乃をそっと地面に降ろした。
「ありがと。でも、抱き上げられて、窓から『飛ぶぞ、捕まれ』って言われたときはほんっとにびっくりしたんだよ。」
上を見上げ、その塔の高さに莉乃はぶるっと震えた。

「さ、行くぞ。きっとすぐに王子から追っ手がかかる。お前がいなくなったからな。」
ぐいっと手を引いて歩き始めるラファ。

なんか、初めてこの世界に来た時みたい。
あれ?あの時って、、ラファだったっけ?
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