きみが望めば
「金色の小鳥に。でも小鳥なのか、窓の縁飾りなのか、、」
「それだな。」
ラファは判ったという顔をしている。

「羽の正体はきっとその金色の小鳥だ。どの主人公の話にも姫を助ける役として動物が出てくる。たぶんそいつだ。」
「え、じゃ、あの、窓飾りから出てきて付いてきてるの?!」
ラファがバサッとマントをあたしの前に掛けた。
「莉乃の助けになるだろう。このマントは莉乃がつけるといい。」
あたしはマントをひっくり返したり、陽に透かしてみたりしたけど、ただのマントにしか見えない。

「小鳥さん?いるの??」
何の声も聞こえてこない。

「悪いやつじゃない。気にするな。」
独り言を繰り返すあたしにラファが微笑んでくれる。

明るく灯された街の入り口が見えてきていた。
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