きみが望めば
25.藍色の空、金色の月
街は活気に溢れていた。
一歩入るとすぐに洋服店があった。
そこであたしの服を買った。
お金がなかったので、馬の背中に付いていた立派な馬具と交換してもらった。

「またどうぞ〜。」
店を出るなり、渋い声で不満そうなラファ。
「その服でいいのか?お前はこの世界で姫なんだぞ?もう少し夢見たっていいんじゃないか?」
あたしの選んだ服のことを言ってる。
「いいーの。だってこの方が馬にも乗りやすいじゃない?」
あたしは上からすぽっと被ったようなワンピース型の服を選んだ。薄い水色みたいな色をしてる。その下にグレーっぽい色のぴたっとしたズボン。レギンスみたい。

「色がぱっとしないけどね、あはは。」
頭をぽりぽり。
「あ、このマントはラファがしててね。さすがに、この格好に黒マントじゃ、ね。」

「もっと可愛いのだってあったろう。」
受け取ったマントを羽織りつつ、今にも店内に引き返しそうなラファ。急いで彼の手を引いて歩く。ラファは着ていた黒いシャツのままだった。

「あ、ねえ、みて、ほら。あれ、何かな?美味しそ〜な匂い。ね??」
しょうがない、と隣でラファが大きく肩を落とすのがわかった。

「食べるか?」
「食べるー!」
あたしはにっこりと答えた。


情報収集のため街を見て回り、買い食いもしたり、まるでデートみたいな時間だった。

暮れてきた陽を受けながら、馬を止めていた最初の洋服店まで戻った時だった。


「いたぞっ!」


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