きみが望めば
突然目の前には湖が広がっていた。
「今度は湖??」
確かにさっきまでなかったはずなのに、なんでもありなの?目を丸めていると、ヒヒーンと馬の鳴き声が聞こえてきた。

現れたのは真っ白な馬だった。
「これは随分立派な白馬ですね。蔵もついている。先客がいるようですね。」
あたりを見回すソラ。彼は全く心配はないような素振りだけれど、何かいるのか、とあたしはソラの傍にくっついた。
「なにがいるの?」

白馬は遠慮なくあたしに近づいてきて、鼻を擦り付けてくる。
「ちょ、やだ、はは、くすぐったいよ、わっ、押さないで〜。」
鼻の頭でぐいぐい押してくる白馬にあたしはソラから引き離されてしまう。

「貴方の香水の香りに惹きつけられてるようですね。」
ソラは白馬を止めもせず、あたしは白馬に擦り寄られるがままでいる。
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