sweet bitter valentine
でも、私は、アイツに渡すはずだったチョコレートの、あの味が忘れられなくて、毎年毎年同じチョコを作ってしまう。

高校生だったあの頃の味覚と変わってしまったのか、苦いと思ったあの味は、年々私好みの味になっていた。

大人になって、働き始めても、同じチョコレートを作った。


未練がましいかな、と思うけど、まあいっか。

アイツは、人気者だった高校生の頃のまんま大人になって、相変わらず人気者で、仕事もできて、こんど外国の支店に配属される事になったらしい、と、噂に聞いた。


私は今年もバレンタインにチョコレートを作る。今や私の得意料理になったそのチョコレート、高校生の時は作るのに随分苦労したっけ。



チョコレートは、甘くて、苦くて、でもやっぱり甘くて、私の記憶をくすぐった。



初恋の味、なんてね。






end.
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