先生と、ひとつ屋根の下

名前







「──桜の蕾がそろそろ目を覚ますような季節になりました。皆さんの卒業を祝うような春の陽気に包まれて、私から挨拶させてください」










今日は、卒業式。







3年生全員、胸元に花をつけて、







背筋を伸ばして、






ステージの上の校長先生を見上げている。





寒さが吹き飛んで、暖かい日差しが優しく体育館のなかを照らす。








「──4月から皆さんは、それぞれ自分の決めた進路へ向けて、歩き始めることと思います。」





先生。


後ろから見えてますか、私のこと。



漆黒のスーツを朝見たけど、


女子たちが騒ぐようなかっこよさだった。



廊下で見かけるのが嬉しくて、
次の教科も頑張れた。



先生。

そんな先生をもう学校で見ることはなくなっちゃうんですね。





でも今日からは、


堂々と、夫婦でいられるんですね。










「──つまずきながら、後ろを振り返りながらでも、一生懸命歩き続けることを願って、式辞とさせて頂きます」













校長の式辞が終わり、卒業生の呼名が始まった。









< 541 / 544 >

この作品をシェア

pagetop