夕やけ雲
歩side
───キーンコーンカーンコーン……
学校中にHR終わりのチャイムが鳴ると、
みんなそれぞれ、帰る支度をはじめる。
「歩(あゆみ)ちゃん、バイバーイ!
また明日ねっ」
「あっ、バイバイ!」
クラスの子とすこしはなしをして、
バイバイする。
友だちがつぎつぎに帰っていくなか、
あたしは帰らずに、
自分の席にほおづえをつきながらすわって
ボーッとする。
気づけば、みんなが帰って、
教室であたしひとりしかいないのは
いつもの光景。
……そろそろかな。
制服のポケットに入っている
スマホの時間をたしかめて、
あたしも帰る支度をはじめる。
すると、遠くからだれかの足音がきこえてくる。
その音の主を知っているあたしは、
フッと笑って、そのまま手をうごかしつづけた。
───ガラッ
「あゆっ!」