夕やけ雲

歩side




───キーンコーンカーンコーン……


学校中にHR終わりのチャイムが鳴ると、
みんなそれぞれ、帰る支度をはじめる。


「歩(あゆみ)ちゃん、バイバーイ!
また明日ねっ」

「あっ、バイバイ!」


クラスの子とすこしはなしをして、
バイバイする。


友だちがつぎつぎに帰っていくなか、
あたしは帰らずに、
自分の席にほおづえをつきながらすわって
ボーッとする。


気づけば、みんなが帰って、
教室であたしひとりしかいないのは
いつもの光景。


……そろそろかな。


制服のポケットに入っている
スマホの時間をたしかめて、
あたしも帰る支度をはじめる。


すると、遠くからだれかの足音がきこえてくる。


その音の主を知っているあたしは、
フッと笑って、そのまま手をうごかしつづけた。






───ガラッ






「あゆっ!」


< 2 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop