◇君に奇跡を世界に雨を◇

奇跡の出会い

 



その夜は、胸がモヤモヤして眠れなかった。




ベッドの中で何度も寝返りをうつ。
目を閉じると昼間聞いた友達の楽しげな会話が蘇って、きつく耳を塞いで枕に顔を埋めた。

ぽつり、ぽつり。
塞いだ耳に届いた、優しい雨音。



そっと顔を上げ時計を見ると、夜中の1時だった。



もしかして……。
なんとなく、彼が待っているような気がして静かにベッドを抜け出した。


昨日と同じ場所。
廊下の突き当たりの窓の前に、やっぱりユウがいた。


「あかりちゃん。こんばんは」


ユウは私が来る事を知っていたかのように、当然の顔をして笑った。


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