あたしの正義



「アリス」

「…げ、」

「ちょっと来いや。」



そんなとき、滅多に現れない人がここに来た。
この人がどうしてこんなところに。



「お疲れ様でした!!」

「アリス、」

「ん?」

「いや、」

「京太さんが呼んでるから行くね!」

「うん。」



なんで佐伯京太さんと知り合いなんだよ。
あの人はもうこの業界からは足を洗ったはずなのに。



不意に京太さんを見た。
そして京太さんも俺を見ていた。


“驚いただろ”

「ッ、」


言葉が出ない。
あの人は俺のことを忘れてはいなかった。




元モデル。
佐伯京太。

この世界で知らない人はいない。



京太さんは誰よりもこの業界を知っている。





< 29 / 100 >

この作品をシェア

pagetop