大好きな君の嘘
宴に戻ると完璧に酔いつぶれた者達に
冷ややかな視線を送り、席に戻る

小楽がニコニコと酌をする


宴が始まってから、この小楽という女を
気に入ったふりして、警戒している


やたらと、組の内情を聞いてくる


(怪しい女だ……)



君菊と出会い、敵だと言われても
これほどの警戒心は、未だにない



小楽からの探りを上手くかわし


宴がお開きになる頃


「浪士組はんの宴は、これからうちが来ます
土方はん よろしゅうに」





(なんてこった……)




数日後






大阪に芹沢らが出張する朝



広間にて、出発前の式をしていた


「芹沢局長 お見えになりました」

「おはようさんどす」


廊下に座り頭を下げたのは、君菊


「おお!君菊!!すまんな!!」

「すまんと思うなら、うちに頼まんといておくれやす!人数は、変わりまへん?」

「うむ 変わりない」

「ほな 与一はん
こちらにお願い致します」


与一が持ってきたのは、君菊からの
握り飯


「大阪行きの者だけだぞ!」

芹沢の言葉で居残り組は、がっくりする



握り飯を配り終えてから


「男はんばっかりで、どないな食事してはるの?」


君菊の質問に真っ先に答えたのは


原田左之助


「俺らが作ってんだ!!!」


大した威張り口調に


「食べられますのん???」



思いっきり不信感を募らせた君菊




「ほな 芹沢はん
大阪のお土産 楽しみにまってます
皆さんもお気をつけて」




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