大好きな君の嘘
怪しい男
浪士組に新しく入った者で
試衛館の幹部しか存在を知らない男がいる


「怪しいですね~間者かもしれませんね」



警戒する幹部ら

土方もその一人だが、皆のそれと少し違う


「山崎は、俺が預かる」



忍術を使えるうえに、剣術もなかなか

そして

土方は、気になっていた

君菊と手を握り合い、話をしていた男こそ

この山崎だ

君菊とどんな間柄なのか…



「なんです?」



ジロジロ山崎を睨み

聞こうか

聞くまいか

思案中


「君菊のことですか?」

「!!!……読心術か!!!」

「や、わかりやすすぎるわ!コソッと
見られてたのも知ってますし?」

「こっ 恋仲なのか…?」

「違います
副長にだけ、言いますけど…従妹です」

「そっ……そうか


        え?


              君菊とか?」


「君菊の話してるんやろがい」

「そうだな……
君菊が… 自分は、俺の敵だと言うんだ
なら、お前は間者か?」

「それは、副長の判断に任せます」

「否定しねぇんだな」

「安っぽい言葉より、態度で信頼勝ち取りたいんです!
君菊が俺以外に笑うのは、副長だけや
せやから、副長に決めたんや!」

「しばらくは、皆の目がある
派手な振る舞いは、するなよ?」

「控えめな方なんで、気にせず!
御用があれば、なんなりと!! ほな!」



山崎が、天井に消えてから

土方は眉間に皺を寄せた


(何、ほっとしてんだ?
山崎が…本当に従妹かどうかも
さだかじゃねぇのに…)




〝君菊が俺以外に笑うのは、副長だけや〟



目を閉じれば、浮かぶ

君菊が笑った顔

眉間を撫でる手の感触




(だぁーーーこれじゃまるで……

俺が… 君菊のこと… /////だあーーー




   好きみたいじゃねぇか/////)












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