大好きな君の嘘
泣く男
数日後



山崎の報告を受け


新選組の中にいる間者の粛清をすることに


幹部らが、集まり計画を練る


「副長!!!」


天井から現れるはずの山崎が、襖を開け
叫んだ


「間者の奴らに、君菊が連れて行かれたんや!助けて下さい!!」

皆が一斉に腰をあげる

「とりあえず、顔隠せ!んで、案内しろ!」






山南の提案で、土方 沖田 永倉 原田

四名で山崎の後を追う



「あーーーお前は、なんで待てへんのや!」

「待ってたら、襲われるやん」

「だからって、お前がこんなことせんでええんや!!ドアホ!!」

「なら、襲われとけばよかったん?」


君菊が、血のついた刀を横たわる持ち主の
そばに投げた



そう…… 四人が到着した時には、すでに

君菊をさらった男ら五人は、死んでいた



「ちょっと……これ、一人で?」


沖田が驚くのも無理はない

五人共、腕が立つ


「菊……もう、こんなことしたらあかん
もう、せんて……言ってくれ」





平然としている君菊を山崎が抱きしめ

泣いた


表情のない君菊を土方は、見つめ続けた


「小楽は、ほっとくんかいな?
うちなら、やれるで」

「何言ってんだよ!!
駄目に決まってんだろ!!」

「芹沢はんの仇討ったる…」

「駄目だよ」

「俺らがいるんだから、な?」

「君菊…ほら、お前に何かあったら
山崎がこんなに泣いて、大変だろ?」



君菊が山崎の胸を押し、距離をとる



「うちがやらんで、誰がやんの?
ただの様子見してて、いつか誰かがやってくれるやなんて、のん気に待ってられへん!!
現に今かて、小楽の周りにおっただけで
連れてこられてんで?
お兄ちゃんは、なんでそないに泣きはるの?
うちは、泣く暇あったら、戦いたい!!」


「あかん!!」


「ほな、どうやって身を守るんどすか?」


土方が君菊と山崎の肩に手を置いた


「そこまでだ
君菊… この件から手を引け
山崎… 置屋に潜入してくれ」


「土方はん お兄ちゃんは人を斬れまへん」


「はぁ 知ってるよ
君菊!お前が山崎に言ったんだろ?
近藤さんの言葉
〝我々は人を守り国を守る為に京に来た〟
俺らがお前を守るっつってんだ!
大人しく守られとけ!
お前がこんなことしなくていいように
俺らが町の人も守る!信じてくれ!」




土方がにっこりと君菊に笑って見せた




コクリと君菊が頷いた











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