きみへの想いを、エールにのせて

世界は変わる


「今週末はいよいよ関東大会だ」


私たちは2年生になり、南高校水泳部は、なんと新入部員を4人も獲得した。

それは、龍平をはじめとした皆の活躍のおかげだ。


冬の間に着々とタイムを縮め、龍平と卓君は春のジュニアオリンピックでそれぞれ入賞という輝かしい成績を残していた。


そしていよいよ、インターハイ予選。

脇田君と小栗君は残念ながら県大会止まり。
でも、リレーはその上の関東大会の切符を手にした。


「フリーリレーの目標は、もちろんインターハイの標準記録突破」


龍平がきっぱりと言い切ると、他の三人はうなずいた。


「必ず、切る」


龍平の目は鋭い。


「俺とお前で、あと1秒ずつな」


龍平は卓君にサラリと言う。


「了解」


彼らにとってのあと1秒は並大抵ではない。

もうすでに全国レベルのタイムを持つふたりがさらに1秒というのは、相当難しいこと。
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